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『何卒』の意味や使用する場面とは? 注意点と返信の仕方も解説!

By - grape編集部  公開:  更新:

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挨拶言葉として広く知られる『何卒(なにとぞ)』は、社会人であればビジネスマナーとして押さえておきたい日本語です。

『何卒』は転職や就職活動に使用する履歴書、メール文や書類など、さまざまな場面で使用されます。

『何卒』の正しい使い方を理解しておくと、より表現力の高い文章を作ることができますよ。

当記事では、『何卒』の読み方と意味、言い換え表現を踏まえた上で、『何卒』を使用する場面を例文付きで詳しく解説します。

また、『何卒』を使用する際の注意点と、『何卒』への返信の仕方も紹介するので、ぜひ役立ててくださいね!

『何卒』の読み方と意味は?

『何卒』は『なにとぞ』と読み、代名詞『なに』、格助詞『と』、係助詞『ぞ』から成り立つ副詞です。

相手に何かを強く願う場合や、どうにかして手を尽くそうという意思を表す際に使われます。

『何とか』という言葉を『ぞ』で強調したことが語源と考えられており、漢字は当て字となります。

『何卒』は、文書をスマートに強調できる非常に丁寧な日本語であり、ビジネスシーンで好んで使用される言葉です。

一方で、非常にかしこまった表現であるため、会話などの口語表現として用いられることは多くありません。

『何卒』の言い換え表現

『何卒』はほかの言葉に言い換えることができます。下記は、『何卒』の類義語の一例です。

類義語意味、使い方例文
ぜひ、ぜひとも
願望を強調する言い回し『ぜひいらしてください』 
どうぞ願う気持ちを丁寧に強調する『どうぞご覧ください』
どうか実現が難しいことを、懇願(こんがん)する表現『どうかお許しください』
くれぐれも心を込めて、丁寧に懇願(こんがん)する『くれぐれもよろしくお伝えください』

上記の言葉は、『何卒』ほど丁寧な言い回しではないものの、堅苦しい印象を与えないので話し言葉としても使われます。

相手との関係性やTPOに応じて、ふさわしい表現を用いましょう!

【例文付き】『何卒』を使用する場面4選!

『何卒』は、マニュアル的な表現として定着しているものの、使用する場面はしっかりと決まっています。

形式的に多用すると『何卒』の意味が薄れてしまい、相手に重要性が伝わらないこともあるため、適切なシーンで使うようにしましょう。

ここでは、『何卒』を使用する場面を例文付きで解説します。

お願いをする

取引先への依頼や交渉時などに『何卒』を用いると、丁寧に依頼することができます。

【例文】

・先日ご依頼いただきました資料を添付しております。何卒ご査収のほど、よろしくお願いいたします。

・ご購入者様宛てに、商品に関するアンケートのお願いを郵送にてお送りしております。ご回答のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

『何卒』は相手を敬うニュアンスを強調するため、上司や顧客に対して依頼する際に用いると好印象です。

結婚式や会議など、フォーマルな場所での使用にも適しています。

『何卒ご検討のほど』『何卒ご協力のほど』など、シーンに応じてさまざまな言い回しができるので、ぜひ使ってみましょう。

謝罪をする

こちらの不手際で迷惑をかけた時や、相手の希望に沿えない場面で『何卒』を用いると、謝罪の気持ちを示すことができます。

【例文】

・予定数量に達し次第、当キャンペーンは予告なく終了させていただきます。何卒ご容赦くださいますよう、お願い申し上げます。

・当商品は大変人気のため、現在はホワイトカラーのみのご用意となります。何卒お許しください。

『何卒ご容赦ください』は、ビジネスシーンでよく使われる言い回しの1つであり、『大目に見てほしい』『理解してほしい』という意味を持つ言葉です。

重大な過失に対する謝罪の言葉としては不適切なので、使わないようにしましょう。

理解を得る

なんらかの事情でやむを得ず対処しなければならない場合や、こちらの決定事項に従ってもらわなければならない際に、相手に理解を求める表現として『何卒』を用います。

【例文】

・当面の間、営業時間を下記の通りに変更させていただきます。お客様には大変ご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご理解とご協力のほど、よろしくお願いいたします。

・商品発送手続き後の注文キャンセル、およびお客様都合による商品の返品、交換は対応いたしかねますので、何卒ご了承ください。

『何卒』を用いると、相手の立場を思いやりつつ、丁寧に申し入れることができます。

『何卒』を使用する前に、こちらの事情を説明する文章を記すとよいでしょう。

文章を締める

メールやビジネス文書の最後を『何卒』を用いた挨拶で締めると、文章全体が引き締まり、格式高い印象に仕上げることができます。

【例文】

・それでは、5月20日、午前10時にお伺いしますので、何卒よろしくお願い申し上げます。

・この度、県の特産品を使用した新メニューが完成いたしました。つきましては、下記の要領で新商品試食会を開催いたします。ぜひご来館いただけますと幸甚です。何卒よろしくお願いいたします。

丁寧な言葉で文章を書いていても、締めが甘いと読み手は違和感を抱くでしょう。

すっきりと丁寧に締めることができる『何卒』は、ビジネス文書の締めくくりに最適です。

『何卒』を使用する上での注意点3つ!

『何卒』はビジネスシーンで便利な言葉ではあるものの、使い方を間違えると相手に誤解を与える可能性があります。

『何卒』を使用する際は、以下の3点を意識しましょう。

立場の近い人には使わない

『何卒』は非常に丁寧な言葉であるため、立場の近い人に対する言葉としては不適切です。

同僚や友人同士の間では、『何卒』よりも馴染みのある『どうぞ』『どうか』などの表現を選びましょう。

多用しすぎない

『何卒』を文章の中で使いすぎると、本当に伝えたい内容が分かりにくくなる上に、相手にしつこいと思われてしまう可能性があります。

文章にメリハリをつけるためにも、同じ文書やメールの中では、『何卒』は1〜2回ほどの使用にとどめましょう。

『何卒よろしくお願いします』は使用しない

『何卒』は、尊敬語や謙譲語と組み合わせて使う言葉です。

『よろしくお願いします』は単なる丁寧語であるため、『何卒』との組み合わせには向きません。

『何卒』を使用する際は、『何卒よろしくお願いいたします』『何卒よろしくお願い申し上げます』といった表現を用いましょう。

上記のポイントを踏まえ、『何卒』を正しい場面と適切な箇所で使用し、読みやすく分かりやすい文章に仕上げてくださいね。

『何卒』への返信の仕方もマスターしよう!

『何卒』という言葉を含むメールを受け取った際は、適切な返答ができればコミュニケーションがスムースに進みます。

下記は、『何卒』への返信の一例です。

『何卒よろしくお願いいたします』への返信こちらこそ、どうぞよろしくお願い申し上げます。
『何卒』を用いた依頼を受けた場合の返信承知いたしました。それでは10月9日木曜日、午前9時にお伺いいたします。
かしこまりました。担当者に確認後、こちらよりご連絡いたします。

『何卒』を含む文章には、『こちらこそ』や『どうぞ』を用いて丁寧な文章で応じましょう。

打ち合わせや面接などの日程の連絡を受けた際は、確認の意味も込めて日時を繰り返すと好印象です。

まとめ

『何卒』は強い希望や実現したい気持ちを強調する、丁寧な言葉です。

目上の人や顧客に向けた文章や、フォーマルな場で使います。

『何卒』の類義語には『どうぞ』『どうか』などがあるため、相手との間柄や状況によって使い分けましょう。

『何卒』には、依頼や謝罪で使うほか、理解を得る、文章を締めるといった使い方があります。

『何卒』は多用せず、謙譲語や尊敬語と組み合わせることも大切です。

『何卒』を含むメールを受け取った際は、『こちらこそ』『承知しました』などを用いて丁寧な文章で返しましょう!


[文・構成/grape編集部]

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