『何卒』の意味は?使用する場面はいつ?注意点等も解説!
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挨拶言葉として広く知られる『何卒(なにとぞ)』は、社会人であればビジネスマナーとして押さえておきたい日本語です。
『何卒』は転職や就職活動に使用する履歴書、メール文や書類など、さまざまな場面で使用されます。『何卒』の正しい使い方を理解しておくと、より表現力の高い文章を作れるようになりますよ。
この記事では、『何卒』の読み方と意味、言い換え表現を踏まえた上で、『何卒』を使用する場面を例文付きで詳しく解説します。
また、『何卒』を使用する際の注意点と、『何卒』への返信の仕方も紹介するので、ぜひ役立ててください。
『何卒』の読み方と意味は?
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『何卒』は『なにとぞ』と読み、代名詞『なに』、格助詞『と』、係助詞『ぞ』から成り立つ副詞です。相手に何かを強く願う場合や、どうにかして手を尽くそうという意思を表す際に使われます。
『何とか』という言葉を『ぞ』で強調したことが語源と考えられており、漢字は当て字となります。『何卒』は、文書をスマートに強調できる非常に丁寧な日本語であり、ビジネスシーンで好んで使用される言葉です。
一方で、非常にかしこまった表現であるため、会話などの口語表現として用いられることは多くありません。
『何卒』の言い換え表現
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『何卒』はほかの言葉に言い換えられます。使う相手やシチュエーションごとに表現を選ぶ必要があるでしょう。ここでは、使いやすい『どうぞ』と『ぜひ』について説明します。
どうぞ
『どうぞ』は基本的に以下の3つの意味合いで使われます。
【例文】 どうぞお座りください。
お客様にくつろいでもらうよう勧める丁重な言い方です。
【例文】 どうぞこちらの商品をご覧ください。
商品を買うよう勧める時に使ういい回しです。
【例文】どうぞこちらのお茶をお持ちください。
お茶や料理などを出す時に、丁重に勧める表現です。
いずれの場合も、『どうぞ』を付けることで丁重で礼儀正しい言い方になります。柔らかく丁寧な印象になるので、目上の人やお客様などにも使うことが可能です。
『どうぞ』は日常の丁重な言い回しとして、『何卒』は文書など格式ある場面で強い願望を表す言葉として、それぞれ使い分ければよいと覚えておけば分かりやすいでしょう。
ぜひ(是非)
『ぜひ』は強い願望や要求を表す副詞として使われ、『何卒』と同じように強めのいい回しになります。表すのは、主に以下の4つの意味です。
【例文】ぜひこの件についてご協力ください。
相手に対して強く何かを求める際に使います。
【例文】この機会をぜひ活用してみてはいかがですか。
相手に対して強くある行動を促す際に使います。
【例文】わたしはぜひその資格を取りたいと思っています。
自身の強い希望や要求を表す際に使います。
【例文】 A「サッカーの試合、観に行きませんか?」B「ぜひ行きましょう」
前向きで強い承諾を示す際に使われます。
『ぜひ』には『是非とも』『必ず』といった強い意味合いがあり、話し手の強い気持ちが反映されます。また、丁重さを保ちつつ強い願望を伝える場合は『ぜひとも』と表現してみてもよいでしょう。
状況に応じて、『何卒』か『ぜひ』かを使い分けてください。例えば、上司への依頼文では『何卒』、友人への誘いでは 『ぜひ』といった具合です。
『何卒』の英語表現
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『何卒』という日本語の表現を英語に直訳することは難しく、完全に同じニュアンスを伝える単語はありません。『何卒』が含意する強い願望や決意を適切に英語で表すには、状況に応じて複数の表現を組み合わせる必要があります。
例えば、「何卒よろしくお願いいたします」という表現の場合、以下のように表現可能です。
【例文】
(自分のいいたいことを理解してくれてありがとう。~していただけると非常に感謝します)
(この件に関してあなたの協力を心から求めます)
(私たちに対して~してくれることを心から望んでいます)
このように、『earnestly』『greatly appreciate』『sincere hope』などの表現を使い、強い願望や要請、感謝の気持ちを組み合わせることで、『何卒』が持つニュアンスを英語で伝えられます。
ひと言で的確に訳すのは難しいため、文脈に合わせて複数の表現を用いると表現の幅が広がりますよ。
【例文付き】『何卒』を使用する場面4選!
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『何卒』は、マニュアル的な表現として定着しているものの、使用する場面はしっかりと決まっています。
形式的に多用すると『何卒』の意味が薄れてしまい、相手に重要性が伝わらないこともあるため、適切なシーンで使うようにしましょう。
ここでは、『何卒』を使用する場面を例文付きで解説します。
お願いをする
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取引先への依頼や交渉時などに『何卒』を用いると、丁寧に依頼することができます。
【例文】
・先日ご依頼いただきました資料を添付しております。何卒ご査収のほど、よろしくお願いいたします。
・ご購入者様宛てに、商品に関するアンケートのお願いを郵送にてお送りしております。ご回答のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
『何卒』は相手を敬うニュアンスを強調するため、上司や顧客に対して依頼する際に用いると好印象です。
結婚式や会議など、フォーマルな場所での使用にも適しています。
『何卒ご検討のほど』『何卒ご協力のほど』など、シーンに応じてさまざまな言い回しができるので、ぜひ使ってみましょう。
謝罪をする
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こちらの不手際で迷惑をかけた時や、相手の希望に沿えない場面で『何卒』を用いると、謝罪の気持ちを示すことができます。
【例文】
・予定数量に達し次第、当キャンペーンは予告なく終了させていただきます。何卒ご容赦くださいますよう、お願い申し上げます。
・当商品は大変人気のため、現在はホワイトカラーのみのご用意となります。何卒お許しください。
『何卒ご容赦ください』は、ビジネスシーンでよく使われる言い回しの1つであり、『大目に見てほしい』『理解してほしい』という意味を持つ言葉です。
重大な過失に対する謝罪の言葉としては不適切なので、使わないようにしましょう。
理解を得る
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なんらかの事情でやむを得ず対処しなければならない場合や、こちらの決定事項に従ってもらわなければならない際に、相手に理解を求める表現として『何卒』を用います。
【例文】
・当面の間、営業時間を下記の通りに変更させていただきます。お客様には大変ご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご理解とご協力のほど、よろしくお願いいたします。
・商品発送手続き後の注文キャンセル、およびお客様都合による商品の返品、交換は対応いたしかねますので、何卒ご了承ください。
『何卒』を用いると、相手の立場を思いやりつつ、丁寧に申し入れることができます。
『何卒』を使用する前に、こちらの事情を説明する文章を記すとよいでしょう。
文章を締める
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メールやビジネス文書の最後を『何卒』を用いた挨拶で締めると、文章全体が引き締まり、格式高い印象に仕上げることができます。
【例文】
・それでは、5月20日、午前10時におうかがいしますので、何卒よろしくお願い申し上げます。
・この度、県の特産品を使用した新メニューが完成いたしました。つきましては、下記の要領で新商品試食会を開催いたします。ぜひご来館いただけますと幸甚です。何卒よろしくお願いいたします。
丁寧な言葉で文章を書いていても、締めが甘いと読み手は違和感を抱くでしょう。
すっきりと丁寧に締めることができる『何卒』は、ビジネス文書の締めくくりに最適です。
『何卒』を使用する上での注意点5つ
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『何卒』はビジネスシーンで便利な言葉ではあるものの、使い方を間違えると相手に誤解を与える可能性があります。『何卒』を使用する時は、以下の5点を意識しましょう。
お願いする理由を添える
『何卒』は、強い願望や要請を丁重に伝える言葉です。したがって、適切な理由や背景を添えて使用することが重要となります。
例えば、「年末年始の休業期間中は何卒ご協力をお願いいたします」といった一般的な事柄については、特に理由を付す必要はありません。
しかし、重要な依頼事項や期待を伝える場合には、なぜその件が重視されているのかを必ず補足しなければいけません。特に相手方に協力を求める場合や謝罪を伴う場合は、より詳細な説明が求められます。
具体的には、「何卒ご協力くださいますよう、お願い申し上げます。本件は当社の重点施策であり…」といった具合に、相手に何を求めているのか、自社でどの程度の取り組みをしてきたのかを明確に説明することが望ましいでしょう。
立場の近い人には使わない
『何卒』は、極めて丁重で穏やかな言い回しではありますが、その言葉自体に『強い願望』や『決意』といった強めのニュアンスが含まれています。
したがって、親しい間柄や家族、友人など親密な人間関係の中で使うと、かえって極端な表現と受け取られてしまうでしょう。
親しい人間関係においては、率直で自然体の言葉遣いが一般的です。『何卒』のような丁重で格式ばった言い回しを使うと、かえって緊張感や距離感が生まれてしまいます。
例えば、友人に対して「何卒ご協力願えますでしょうか」というよりも、「ちょっと手伝ってくれる?」という方が自然ですよね。
一方で上司から部下へ、役所から国民へ、企業から客へなど、一定の上下関係や公的な立場における発信の場合は、『何卒』を使うことで丁重さが加わり、好ましい表現となります。
つまり、『何卒』は、親しい間柄よりも、ある程度の距離がある相手に対して、強い願望を礼儀正しく伝えたい場合に適した言葉です。近しい関係の中で使うと、かえって違和感や緊張感を生んでしまう可能性があるため、使い分けが重要になります。
多用しすぎない
『何卒』を文章の中で使いすぎると、本当に伝えたい内容が分かりにくくなる上に、相手にしつこいと思われてしまう可能性があります。文章にメリハリをつけるためにも、同じ文書やメールの中では、『何卒』は1〜2回ほどの使用にとどめましょう。
『何卒よろしくお願いします』は使用しない
『何卒』は、尊敬語や謙譲語と組み合わせて使う言葉です。「よろしくお願いします」は単なる丁寧語であるため、『何卒』との組み合わせには向きません。
『何卒』を使用する際は、「何卒よろしくお願いいたします」「何卒よろしくお願い申し上げます」といった表現を用いましょう。上記のポイントを踏まえ、『何卒』を正しい場面と適切な箇所で使用し、読みやすく分かりやすい文章に仕上げてくださいね。
『何卒』のみで使用しない
『何卒』は非常に丁重で強い願望を表す言葉ですが、単独で『何卒』と使うだけでは不十分であり、適切な文脈や理由が伴わなければなりません。
『何卒』だけを使った場合、その意味や背景が明確でないため、要求や依頼の内容が不明瞭になってしまいます。単に『何卒』というだけでは、相手は何を求められているのかが分かりません。
願望や決意の強さは伝わっても、具体的な依頼内容が伴っていないと、的確に意図が伝わらない場合があります。
また、『何卒』を単独で使うと、無神経で強引な印象を与えかねません。丁重さを失い、ただ命令口調に聞こえてしまう恐れがあります。『何卒』という言葉に込められた丁重な意味合いが損なわれてしまうのです。
『何卒』への返信の仕方もマスターしよう!
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『何卒』という言葉を含むメールを受け取った際は、適切な返答ができればコミュニケーションがスムースに進みます。
下記は、『何卒』への返信の一例です。
『何卒』を含む文章には、『こちらこそ』や『どうぞ』を用いて丁寧な文章で応じましょう。
打ち合わせや面接などの日程の連絡を受けた際は、確認の意味も込めて日時を繰り返すと好印象です。
まとめ
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『何卒』は強い希望や実現したい気持ちを強調する、丁寧な言葉です。
目上の人や顧客に向けた文章や、フォーマルな場で使います。
『何卒』の類義語には『どうぞ』『どうか』などがあるため、相手との間柄や状況によって使い分けましょう。
『何卒』には、依頼や謝罪で使うほか、理解を得る、文章を締めるといった使い方があります。
『何卒』は多用せず、謙譲語や尊敬語と組み合わせることも大切です。
『何卒』を含むメールを受け取った際は、『こちらこそ』『承知しました』などを用いて丁寧な文章で返しましょう!
[文・構成/grape編集部]