無洗米、本当に洗わなくていいの? 企業の回答に驚きの連続!
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- 取材協力
- 東洋ライス株式会社
米を研がなくてもいい無洗米は便利ですよね。
米の袋から計量カップで計って炊飯器に入れ、水を注いでボタンを押すだけでご飯が炊けます。
この無洗米はどのように作られているのかご存じでしょうか。
世界で初めて無洗米を開発し、おいしい無洗米を作っている東洋ライス株式会社(以下、東洋ライス)に取材しました。
無洗米の製造方法とは
まず、無洗米を作るためには、米に付いている肌ぬかを取らなければなりません。
精米された米は、胚芽(はいが)と、ぬか漬けなどに使われるぬかは取り除かれています。しかし、表面にはまだ肌ぬかと呼ばれる、とぎ汁の元になる粘着性の高い部分が付着しているのです。
肌ぬかが付いたまま米を炊くと、味が悪かったり、ぬかの臭いがしたりしてしまいます。米をおいしく食べるために、米を洗い、研ぐ作業は必要になるのです。
米を洗っていると、水が白濁して研ぎ汁になりますね。
これは米の表面に付着していた肌ぬかが水に溶けたもの。ぬかは水に溶けますが、その水が米粒に吸収されないうちに素早く丁寧に研ぐことが重要です。
東洋ライスが製造する無洗米
『ぬかでぬかを取る』という驚きの技術
肌ぬかは粘着力が強く、機械的に肌ぬかを取り除くのは至難の業。
そこで、東洋ライスが作り出したのは、肌ぬかの粘着力を利用して肌ぬかを取るという技術でした。
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玄米を精米機によって精白米にしたら、さらに『BG無洗米機』という機械に送ります。
『BG無洗米機』では、精白米を特殊な円筒の金属容器に入れて回転させます。
容器の内部には小突起が付いていて、米粒を弾く際、肌ぬかが内部の金属壁に付着。
この肌ぬかが、粘着力でほかの米粒の肌ぬかを引き剥がすのです。
やがて金属壁に肌ぬかが蓄積していきますが、たまった肌ぬかは、回転する大きな突起でまとめて取ってしまうといいます。
粘着力が強くて、どう肌ぬかを取ろうかと思案する中、「同じ粘着性のある肌ぬか自体を用いたらどうか」と思いついたのは見事な発想の転換です。
実際、『BG精米製法』で作る米は、食味がよく大正解でした。
※『BG』は、Bran(ぬか)とGrind(削る)の頭文字を取って命名。
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上記右の顕微鏡写真のとおり、この製法を用いてできる米の粒には肌ぬかがほとんど見当たりません。
しかもいいことに、この製法では水をほとんど使わず、できるのは取った肌ぬかと無洗米だけ。工場からの排水はまったく出ないそうです。
無洗米には定義がない!
非常に画期的な製造技術で世界初の無洗米が登場したのですが、その後すぐにほかの無洗米を作る技術が登場しました。
現在でも以下のような方式で各種無洗米が作られているそうです。
・BG精米製法(ヌカ式):肌ぬかの粘着力を利用して、肌ぬかを剥がし取る。
・NTWP(タピオカ式):米に少量の水を加え、タピオカに付着させて取り除く。
・水洗い式:水で洗い落とし、短時間に乾燥させる。
※そのほかブラシ式など、ブラシや不織布などを用いて、取り除く方法もある。
また、無洗米と名乗ることについては法的な定義がないため、ひと口に無洗米といっても玉石混交なのが現状です。
「無洗米を食べたけどおいしくなかった」という人もいるかもしれませんが、それはあまり品質のよくない無洗米を食べたからかもしれません。
無洗米をおいしく食べる方法
最後に、無洗米をおいしく食べる方法について、東洋ライスに聞きました。
無洗米を炊く時に十分に水に浸し、炊飯を開始する1時間ほど前は、炊飯器の中で水に浸しておくことをおすすめします。
そうすると、芯まで水を吸って、ふっくらおいしいご飯が炊き上がります。
無洗米にもいろいろな種類があることに驚いた人は多いのではないでしょうか。
洗米と研ぎが必要ないので便利ですが、できればおいしい無洗米を選びたいですね。
[文/高橋モータース@dcp・構成/grape編集部]