「ここに来て!」スマホを振るだけでタクシーが集まってくる『フルクル』ってなに?
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タクシー会社の国際自動車が、スマホを振るだけで空車のタクシーが集まってくるアプリ『フルクル』を開発し、11月から運用を始めると発表しました。
これはアプリを立ち上げて、タクシーに来てもらいたい場所でスマートフォンを振ると、タクシードライバーに、呼び出している人の場所を知らせ、流しているタクシーがその場所に集まってくるサービス。タクシーが近づくとバイブレーションで知らせてくれる機能も搭載!!
使用イメージ
東京都では今年の1月から初乗り料金が410円に引き下げられ、タクシーは今まで以上に身近な交通手段となり、配車アプリはもはやビジネスマンの必需品になっています。
現在よく使われているものでは『全国タクシー』『タクシーチャンピオン』『LINE TAXI』『Uber』などがあり、どれもアプリを立ち上げて、タクシーに来て欲しい場所を入力またはGPSで示し、迎車ボタンを押せば、タクシーが近くを走っていれば予約が完了。
『LINE TAXI』と『Uber』は乗車してからの支払いの手間はかからないものの、事前にクレジットカードの登録が必要。『全国タクシー』『タクシーチャンピオン』は予約だけして車内で支払え、また、全国どこでも利用可能です。
しかしこれだと、タクシーが走っていない場所の場合は、近くを走るタクシーが来るまで、何度も確認したり、遠くから来てもらうときは迎車料金を払う必要があったり、利便性という面ではもうひと工夫が必要でした。
今回の『フルクル』では、アプリを立ち上げて、タクシーに来てもらいたい場所でスマートフォンを振るだけで、流しのタクシーに来て欲しい客の場所を直接伝えることができるため、これまで以上にスピーディーな対応が可能になりそうです。
使用イメージ
ちなみに「『フルクル』ではいくら振っても迎車料金はかからないので、安心して「タクシーさんここに来て!」と振り続けることができます。
ここ数年、タクシー業界ではさまざまな変化が起きています。2002年にはタクシーの数量規制が廃止され、新規参入社が増えた結果、タクシーの数が大幅に増えるという事態になりました。その一方で輸送人員の数は右肩下がりを続け、2014年1月には『改正タクシー特別措置法』の施行で、強制的にタクシーが減車される事態を巻き起こしました。
日本の人口が年々減少していく中、この先、輸送人員が大きく増えることはなさそうなので、タクシー業界を取り巻く状況はあまり明るいとは言えませんが、その一方、訪日外国人や高齢者の送迎といった新たな需要も見込まれ、改めて新しい市場づくりを検討する必要があるというのが今のタクシー業界の課題のようです。
そんな中、NTTドコモは人工知能(AI)を使ってタクシーに乗りたい客の数を予測する『AIタクシー』を公開。スマートフォンの位置情報による人の流れデータや、過去の乗車実績や天気予報との関連性などのビッグデータをAIが学習し、毎時30分後のタクシー需要を地域別にはじき出すことに成功。
運転手はその情報を見ながら走行させることで、配車希望者が現れやすい場所にタクシー自ら誘導されていき、空車が減って、利用者はタクシーをつかまえやすくなると実証実験をスタート。
東京無線によれば、1カ月のタクシーの走行距離は4425台の合計で2914万キロメートル(2016年12月実績)。このうち空車での走行は1554万キロメートルと半分を超えているんだそうです。つまり1ヶ月のタクシーの半分以上が無賃走行になってしまっているわけです。
このAIタクシーの実証実験の中間報告では、12台に乗務した26人の運転手の1ヶ月の売り上げが平均で前月よりも1日あたり6723円増。この伸び幅は運転手全体の1.5倍に相当すると、AIタクシーの可能性に期待がかかっています。
また、今後は少子高齢化による将来のドライバー不足も想定され、株式会社DeNAと、自動運転技術を開発する株式会社ZMPによるジョイントベンチャー『ロボットタクシー株式会社』では、無人運転のロボットタクシー事業をスタートさせています。
これは、現在の手を上げて乗り込むタクシーというイメージからは多少逸脱するかもしれませんが、高齢者の多い地方都市で日常の足として使ってもらう、月額契約で利用できるコミュニティバスや、病院の送迎バスを自動運転化しようという試み。
GPSやセンサー技術、そしてカメラ解析の3つの技術を使って「運転手がいなくても自律的に走行するクルマ」を目標に、2020年の東京オリンピックまでに実現させるべく、国家戦略特区での実証実験が行われています。
スマートフォンを振って自分の乗りたい場所にタクシーが集まってくる『フルクル』も含め、今後のタクシー市場にはさまざまなアイデアやIT技術が不可欠なんですね。都市交通がさらに便利になることに期待したいところです。
[文・構成 土屋夏彦/grape編集部]
土屋夏彦
上智大学理工学部電気電子工学科卒業。 1980年ニッポン放送入社。「三宅裕司のヤングパラダイス」「タモリのオールナイトニッポン」などのディレクターを務める傍ら、「十回クイズ」「恐怖のやっちゃん」「究極の選択」などベストセラーも生み出す。2002年ソニーコミュニケーションネットワーク(現ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社)に転職。コンテンツ担当ジェネラルプロデューサーとして衛星放送 「ソネットチャンネル749」(現アジアドラマチックTV★So-net)で韓国ドラマブームを仕掛け、オンライン育成キャラ「Livly Island」では日本初の女性向けオンラインで100万人突破、2010年以降はエグゼクティブプロデューサー・リサーチャーとして新規事業調査を中心に活動。2015年早期退職を機にフリーランス。記事を寄稿する傍ら、BayFMでITコメンテーターとしても出演中、ラジオに22年、ネットに10年以上、ソーシャルメディア作りに携わるメディアクリエイター。