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遊びで負けると、大泣きしてしまう子供 保育者が考える『寄り添い方』とは?

By - grape編集部  公開:  更新:

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Twitterやnoteで子育てに関する『気付き』を発信している、保育者のきしもとたかひろさん。

連載コラム『大人になってもできないことだらけです。』では、子育てにまつわる悩みや子供の温かいエピソードなど、親や保育者をはじめ多くの人の心を癒します。

今回から、番外編として子供にまつわるお悩み相談をスタート!1つの選択肢を提案し、心に寄り添うメッセージをご紹介します。

『負け』が受け入れられず、大泣きしてしまう子への声かけって?

【悩み】

5歳になる保育園年中の息子がいます。

息子はトランプ遊びが好きなのですが、勝ち負けにこだわるところがあり、負けると大泣きして、気持ちを切り替えるまでに時間がかかります。

負けも受け入れ、友達と楽しく遊べるようにするには、どんな声かけをしていけばいいでしょうか。

負けると大泣きしてしまうという姿が目に浮かびます。よほど悔しいんでしょうね。

子どもたちと将棋やトランプなどをしていると、負けそうになったら遊びを途中で抜けたり盤をひっくり返したりなんてことは日常茶飯事と言っていいくらいよく見る光景ですよね。

カードゲームで負けて友達を叩いてしまったり、鬼ごっこで鬼になった途端に泣き出したりなんて場面もあって、それが毎回だと周りの子や大人も疲弊してしまいます。

そんな時に、つい「そんなことで泣かんときや」と何度言ってしまったことか…。特に余裕がない時なんかだと「泣くくらいならもうやらんとき!」と遊びを奪ってしまったこともあります。

その子を傷つける言葉だと自分でも分かっているのに、実際にその場面になるとどうしようもなく、そういう対応になってしまう。

毎回毎回泣かれると対応に困るし、お友達ともうまくやっていけないんじゃないかと不安にもなります。せっかく好きだったことをそのせいで嫌いになっちゃうのも残念な気持ちになります。

悩みを整理する

悩みや不安って、「自分が不安に思っていること」「子どもの姿や思い」「理想にしていたり、当たり前に思ったりしていること」など、色んなことが混ざりあっているので、僕はまず、ひとつずつ分けて整理するようにしています。

いただいた悩みを、僕なりに整理してみます。

1.勝ち負けにこだわること

2.負けると大泣きしてしまう

3.気持ちの切り替えに時間がかかる

4.負けも受け入れ、友達と楽しく遊べるようにするには

大きく分けてこんな形でしょうか。

ついでにそれぞれについて、誰が困っているか(誰が主体の悩みか)も整理しておきます。あくまでも推察です。

1.勝ち負けにこだわること(本人?見てて嫌な自分?)

2.負けると大泣きしてしまう(本人がしんどいかも・周りも困る)

3.気持ちの切り替えに時間がかかる(本人がしんどいかも)

4.負けも受け入れ、友達と楽しく遊べるようにするには

一つに見える悩みも、整理すると一つではなく、また自分の思いや子どものしんどさなど多面的であることに気付けます。まだここでは、はっきりとした答えを見つけようとせず、まずは輪郭を掴む気持ちでいます。

いっぺんに解決しようとは思わず、一つずつ読み解いていくことにします。

それぞれの悩みについて考えてみる

悩み1 勝ち負けにこだわることについて考えてみる

いきなり目の前の問題解決に向かう前に、まずは悩みのひとつ「負けず嫌い」ってなんだろう、と少し考えてみます。

僕は少し前まで将棋のネット対戦にハマっていました。世界中のプレイヤーと対戦したり、友人と対戦したりするんですけど、負けたらめちゃくちゃ悔しいんですよね。

子どもたちと将棋やトランプなどをするときは負けてもそこまで悔しくない。なのに本気の全力の将棋は、頭を掻きむしって叫びたくなるくらいのめちゃくちゃな悔しさなんです。それこそ、大泣きしたいくらいの。

なんでこんなに悔しいんだろうなあ、って思ってたときに、僕の飛車を奪った友人が「将棋は相手が嫌がることをやるゲームやからな」と言ったのを聞いて、なるほどなあって思ったんです。

相手が嫌がることをして勝つ。勝負の基本ですよね。そして、人は思い通りにならないとイライラしたり悔しくなったりするものです。ましてや、負けて劣等感を味わえばなおのこと。

「勝ち負けにこだわる」と考えると問題のように見えるけれど、その実は「思い通りにいかないから」とか「劣等感を味わっているから」かもしれない、と考えると少し見え方は変わってくるように思います。

もちろん、そのどちらもかもしれないし、どちらでもないかもしれません。ここでは無理に答えを出そうとせず、泣くといってもいろんな理由がありそうだなということを頭の隅に置いておきます。

5歳の子が楽しむトランプのゲームといえばババ抜きとか神経衰弱とかでしょうか。トランプというゲームは運の要素が強いゲームなので、相当な心理戦にならない限り運を楽しむゲームです。俗に言う運ゲーですね。

もちろん、ギャンブルのように運でも真剣にやれば悔しいでしょうが、遊びで運まかせのトランプをするくらいならそこまでの悔しさはないですよね。アイスを賭けてのじゃんけんは悔しいけれど、ただのじゃんけんは悔しくないように。

運だからこそ実力に関係なく勝ったり負けたりできるので子ども同士の遊びには重宝するんですが、きっと5歳の子には運でも実力勝負でも同じ「負け」と感じているのだと想像できます。

じゃあ、その「負け」ってその子にとってどんな気持ちだろうと考えてみます。

負けって、言ってみれば自分が劣っているということを証明されることですから、自分を否定されるようなもの。もしかしたらそれは「悔しい」だけでなく、直球で「傷つけられた」と感じていたり「劣等感」「無力感」を味わったりしているのかもしれません。

そうだとすると、「勝ち負けにこだわる」というのは、勝つことに執着しているように感じますが、もしかしたら実のところ「負けたくない」かもしれません。

勝ちたいというよりは、負けたくない、傷つきたくない。そんな風に見てみると少し違う視点で見れるような気がしてきます。

そうかもしれないし違うかもしれないけれど、そんな風に新しい視点で見つめてみると「そりゃあ受け入れ難いよなあ」と納得できたり共感できたりする気がします。

少し答えが出そうになりましたがやはりここでもすぐに答えを出そうとせず、他の側面も考えていきます。

悩み2 負けると大泣きしてしまうこと について考えてみる

何年か前に出会った子で、ポケモンカードが好きな子がいました。その子はたくさんのカードを集めていて、ポケカのことはその子に聞けばいいというくらいみんなから一目置かれており、本人も誇らしげでした。その子がある時、年下の子にポケモンカードバトルで負けたんです。

さぞ悔しいだろうなと思っていたら、悔しがるそぶりを見せずに「おお、負けたあ」とあっさり認めて、思い出したように「おしっこおしっこ」と言ってトイレに向かいました。

「好きなことだから負けても楽しいのかな?」と僕は勝手に想像してたんですけど、トイレから出てきたその子を見たら目が真っ赤に腫れているのを見て、その子の本心をようやく理解します。

きっと泣くほど悔しくて、けれど誰にも悟られたくなかったんだろうなと。泣いてませんよ、とアピールするかのように、真っ赤な目で笑いながら「ん?なに?」ってすっとぼけてる姿が忘れられなくて。

負けると大泣きしてしまうことって、その子がその感情を表出してる、爆発してるっていう状態なので悪いことではないんですよね。

相談内容にあるように、遊びが成立しなくなったり友達との関係が悪くなったりするかもしれないことが問題なのであって、負けて悔し泣きすること自体は悪いことではない。もしかしたらその子も、負けたら悔しくなることを自分で分かっていて制御できないのかもしれない。

そんな時に「そんなことで泣きなや」とか「そういうゲームやねんからしょうがないやん」とついてでてしまう僕の言葉は、本人にとっては励ましでもなんでもないんだろうなと後悔してしまいます。「分かってても悔しいねん」と思われているだろうなって。

大切なのは「悔しがらないこと」ではなく「悔しい気持ちとどんなふうに付き合っていくか」なんですよね。トイレに行ってきっと泣いてたであろうその子のように、いつか自分で自分の中にある気持ちと向き合えるようになると、その子のしんどさが減っていく気がします。

もちろん、大人でもひとりで整理できなかったら愚痴ったり相談したりするんだと思います。泣いているその姿がもしかしたらその練習かもなんて思えると少しこちらの心の余裕ができます。

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